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【画像生成AIの歴史】世代別進化と主要モデルの系譜

◆100文字以上

現在の画像生成AIの進化は、単に画質が上がってきたわけではありません。
世代が進むにつれて、画像の作り方そのものが変わり、人物の描写、構図の理解、文字の再現、画像編集など、得意なことも大きく変化してきました。

この記事では、画像生成AIを世代ごとに分け、各世代の代表モデル・技術的な進化・派生モデル・現在の立ち位置を整理します。

まず、5つの分類を押さえる

分類意味代表例
① 基盤技術・生成方式画像を生成する基本的な仕組みDiffusion(拡散方式)、Flow Matching(フロー・マッチング)
② ネットワーク構造生成処理を担うAIの内部構造U-Net(ユーネット)、DiT(ディット)、MMDiT(エムエム・ディット)
③ 基盤モデル派生モデルの土台となる大元のモデルStable Diffusion、SDXL、FLUX
④ 派生・特化モデル基盤モデルを追加学習・調整したモデルAnimagine、Pony、Illustrious、WAI
⑤ 生成環境モデルを動かし、画像を生成するソフトComfyUI、AUTOMATIC1111 WebUI

この5つは同じ階層の分類ではありません。たとえば、Stable Diffusion XLは基盤モデルであり、U-Netという構造と拡散方式を採用しています。その土台からAnimagine XLやIllustrious XLなどの派生モデルが生まれ、ComfyUIなどで動かします。

第1世代:初期の画像生成AIとStable Diffusionの登場(2022年)

歴史的な出発点です。

Stable Diffusion 1.x

登場:2022年8月 / 現在:旧世代だが現役

一般ユーザーが自分のパソコンで画像生成AIを動かす流れを大きく広げたのが、Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)です。

それ以前にもGAN(敵対的生成ネットワーク)などの画像生成技術はありましたが、Stable Diffusionはモデルの重みが公開され、個人のパソコンでも比較的扱いやすい形で普及しました。2022年8月に初期公開され、その後Stable Diffusion 1.4、1.5へと発展します。

◆ 採用技術

  • 生成方式:Diffusion(ディフュージョン)
  • 内部構造:U-Net(ユーネット)
  • 画像を圧縮したデータ上で生成するLatent Diffusion(潜在拡散)を採用

簡単に言えば、ノイズから少しずつ画像を作り上げる方式です。U-Netがノイズを取り除く処理を繰り返し、最終的な画像を作ります。

◆ この世代の特徴

  • 比較的少ないGPUメモリでも動かせる
  • LoRAや追加学習によって、画風やキャラクターを特化させやすい
  • アニメ・実写など、さまざまな派生モデルが生まれた

特にStable Diffusion 1.5は、現在でも追加学習モデルやLoRAが豊富に残っています。新しいモデルに性能面で劣る部分はありますが、軽さと対応モデルの多さから、今も利用価値があります。

Stable Diffusion 2.x

登場:2022年後半 / 現在:歴史的モデル

Stable Diffusion 1.xの次に登場したのが2.x系列です。

基本的な生成方式とU-Net構造は1.xから引き継いでいますが、学習データや文章を理解する仕組みなどが変更されました。そのため、1.x向けのプロンプトや追加学習モデルが、そのまま同じように動くわけではありません。

しかし、コミュニティでは1.5の方が広く使われ続け、2.xを土台にした大きな派生モデル群は形成されませんでした。

◆ この世代の位置づけ
1.xから次の世代へ進む途中のモデルです。技術的には改良されましたが、利用者や派生モデルの広がりでは1.5ほどの存在感を確立できませんでした。

第2世代:高解像度化と大型基盤モデルの時代(2023年)

派生モデルが大きく発展。

Stable Diffusion XL(SDXL)

登場:2023年7月 / 現在:旧世代だが派生モデル群は現役

SDXLはStable Diffusion 1.xを大きく発展させた基盤モデルです。標準的な生成解像度が512ピクセル級から1024ピクセル級へ引き上げられ、人物・背景・構図・光の表現などが改善されました。

◆ 採用技術

  • 生成方式:Diffusion(ディフュージョン)
  • 内部構造:U-Net
  • 1.xより大規模なモデルと、2段階で仕上げるRefiner(リファイナー)を用意

ここで重要なのは、SDXLもU-Netを使った拡散方式だという点です。内部構造が根本から変わったわけではありません。モデルの規模や学習内容、画像生成能力を大きく強化した世代です。

SDXLから生まれた代表的な派生モデル

SDXLの登場によって、アニメ・実写・特定の画風などに特化したモデルが数多く作られました。

・DreamShaper XL(ドリームシェイパー)
実写とイラストの中間的な表現も得意とする汎用派生モデル。幅広い画風に対応します。

・Juggernaut XL(ジャガーノート)
写真のような人物やリアルな質感を重視した派生モデルです。

・Animagine XL(アニメージン)
アニメイラストに特化した派生モデル。キャラクターイラストの生成に広く使われました。

・Pony Diffusion(ポニー)
キャラクターの属性や絵柄などを細かく指定する文化を発展させた、SDXL系の特化モデルです。

・Illustrious XL(イラストリアス)
アニメイラストに特化したSDXL系の基盤モデル。後続のアニメ特化モデルに大きな影響を与えました。

Illustrious XLからWAI-Illustriousへ

登場:2024年以降 / 現在:派生モデルが現役

WAI-Illustriousは、Illustrious XLを土台に発展した派生モデルです。
つまり、WAI-IllustriousはStable Diffusionから直接独立して生まれた新しい基盤モデルではありません。SDXLから続く系譜の中にあります。

この世代の重要なポイントは、基盤モデルそのものの進化だけでなく、一つの基盤モデルから用途別の派生モデルが大量に生まれるようになったことです。

第3世代:Transformer構造への転換(2024年)

内部構造が大きく変化。

Stable Diffusion 3/3.5

SD3:2024年 / SD3.5:2024年10月 / 現在:現役の選択肢

Stable Diffusion 3では、従来のU-Net中心の構造から、Transformer(トランスフォーマー)を使った構造へ大きく転換しました。
採用されたのはMMDiT(エムエム・ディット)と呼ばれる構造です。画像と文章の情報を別々の重みで処理しながら、相互に情報をやり取りできるようにしています。

◆ 採用技術

  • 生成方式:Rectified Flow(レクティファイド・フロー)
  • 内部構造:MMDiT
  • 従来のU-Net中心の設計から、Transformer中心の設計へ移行

従来の拡散方式では、ノイズを少しずつ取り除いて画像を作っていました。Rectified Flowは、ノイズから画像へ向かう流れを学習する方式です。拡散モデルと無関係な別物というより、画像生成の過程を別の数学的な枠組みで扱う方法です。

SD3.5ではLarge、Large Turbo、Mediumなどのモデルが登場し、モデルの大きさや生成速度に応じて選べるようになりました。

◆ この世代の変化

  • 文章の指示を理解する能力の改善
  • 画像内の文字や複雑な構図への対応強化
  • Transformerを中心とする新しい内部構造
  • 生成方式も従来の方式からRectified Flowへ移行

ただし、SD3.5がSDXLの単純な後継というだけではありません。内部構造と生成方式の両方に大きな変更が加わっています。

FLUX.1(フラックス)

登場:2024年8月 / 現在:派生・改良版を含め現役

FLUX.1は、Stable Diffusionの開発に関わったメンバーらが設立したBlack Forest Labsによる画像生成モデルです。
Stable Diffusionの後継モデルではなく、独立した基盤モデルの系列です。ただし、SD3と同じくTransformer系の構造とフロー系の生成方式を採用しており、技術的には近い方向へ進んでいます。

◆ 採用技術

  • 生成方式:Flow Matching(フロー・マッチング)系
  • 内部構造:Transformer系
  • 高い文章理解力と画像表現を重視

FLUX.1には、主に次のモデルがあります。

  • FLUX.1 Pro:高品質な生成を目的とするモデル。一般向けに重みが公開されたモデルとは異なります。
  • FLUX.1 Dev:開発・研究用途向けに重みが公開されたモデル。ライセンスには制限があります。
  • FLUX.1 Schnell:高速生成向けのモデル。Apache 2.0ライセンスで公開されています。

SD3.5とFLUX.1は、技術的に近い部分を持っていますが、親子関係ではありません。開発元も学習も異なる、別々のモデル系列です。

第4世代:高性能化と画像編集の統合(2025年〜2026年)

生成だけでなく編集・参照画像の活用へ。
第3世代で進んだTransformer中心の設計は、さらに発展します。
この世代では、文章から画像を作るだけでなく、複数の参考画像を読み込む、既存画像を編集する、画像内の文字を正確に配置するといった機能が重要になっています。

FLUX.2(フラックス2)

Dev:2025年11月 / Klein:2026年1月 / 現在:現役

FLUX.2はFLUX.1の後継系列ですが、単にFLUX.1を調整したモデルではありません。新しい構造と学習によって作られた、別の世代のモデルです。

◆ 採用技術

  • 生成方式:Flow Matching系
  • 内部構造:Transformer系
  • 画像生成に加えて、参考画像を使った編集にも対応

FLUX.2では、複数の参考画像を入力して、それらの特徴を反映した画像を作る機能が強化されています。

主なモデルは次のとおりです。

  • FLUX.2 Dev:32B(約320億)パラメータの高性能モデル。生成品質や編集能力を重視。
  • FLUX.2 Klein 4B:軽量・高速化を重視したモデル。Apache 2.0で公開。
  • FLUX.2 Klein 9B:4Bより大きなモデル。高い性能を狙う一方、ライセンスには制限があります。

同じFLUX.2系列でも、モデルによって必要なGPU性能や利用条件が異なります。

Qwen-Image(クウェン・イメージ)

登場:2025年8月 / Qwen-Image 2.0:2026年2月 / 現在:現役

Qwen-Imageは、AlibabaのQwenチームが開発した独立した画像生成モデルです。Stable DiffusionやFLUXから派生したモデルではありません。
特に力を入れているのが、画像内の文字の描画と画像編集です。ポスターや図解のように、画像の中に文章や文字を配置する用途にも向いています。

◆ 採用技術

  • 生成方式:拡散方式
  • 内部構造:MMDiT
  • 文章や画像の情報を扱う複数のモジュールを組み合わせた構成

ここは少し重要です。Qwen-ImageもMMDiTを採用していますが、Stable Diffusion 3.5の派生モデルという意味ではありません。同じような内部構造を採用している、別の開発元の独立モデルです。
2026年2月にはQwen-Image 2.0が発表され、文字描画、画像生成、編集機能などが強化されました。

Anima(アニマ)

アニメ・イラスト特化
公開時期:2026年1月(プレビュー版)/2026年5月15日(正式版)

Animaは、CircleStone LabsとComfy Orgが共同開発した、約20億(2B)パラメータの画像生成モデルです。アニメやイラストの生成を主な目的として開発されました。
基盤には、NVIDIAの「Cosmos-Predict2-2B-Text2Image」を採用しています。SDXLやIllustriousとは異なるモデル系列で、Diffusion Transformer(DiT)と呼ばれるTransformerベースの構造を使用しています。

◆ 主な特徴

  • アニメ・イラスト特化: 数百万枚のアニメ画像に加え、約80万枚のアニメ以外の芸術作品を学習しています。
  • 自然文による指示に対応: Danbooru形式のタグだけでなく、文章による細かな描写にも対応しています。
  • 複数キャラクターの描き分け: キャラクターごとの髪色や服装、配置などを文章で指定できます。
  • 比較的小規模なモデル: 約20億パラメータで、大型画像生成モデルと比較すると扱いやすい規模です。

◆ 主なバージョン

  • Anima-Base: 基本モデル。自由度が高く、追加学習にも適しています。
  • Anima-Aesthetic: 作風や画質の安定性を高めた調整版。
  • Anima-Turbo: 少ない生成ステップで高速に画像を生成できる蒸留版。

第4世代で何が変わったのか

第3世代では、画像生成モデルの内部構造が大きく変わりました。第4世代では、その構造を活用しながら、生成と編集を一体化する方向へ発展しています。

比較項目第3世代第4世代
中心となる進化Transformer構造への転換生成・編集・参照機能の統合
代表モデルSD3.5、FLUX.1FLUX.2、Qwen-Image 2.0
画像内の文字改善が進むさらに重視
参考画像の利用モデルや機能による複数画像の活用が進む
画像編集対応が進む主要機能として発展

生成環境の進化:モデルを動かすソフト

モデルそのものとは別に、画像生成AIを動かすためのソフトも発展してきました。

・AUTOMATIC1111 WebUI
Stable Diffusion 1.xやSDXLの普及を支えた代表的な生成環境です。画面上でモデルや設定を選び、比較的簡単に画像を生成できます。

・ComfyUI(コンフィUI)
ノードをつないで生成処理を組み立てる環境です。複雑な画像生成、参照画像の利用、複数モデルの組み合わせなどに強く、新しいモデルへの対応も進んでいます。

ここで注意したいのは、ComfyUIやAUTOMATIC1111は画像生成モデルではないということです。あくまでモデルを動かすための環境です。
たとえば、SDXLもFLUXもQwen-Imageも、それぞれ対応状況や必要な設定は異なります。

現在の立ち位置

モデル系列現在の評価・立ち位置
Stable Diffusion 1.5古いが軽量。LoRAや追加学習モデルが豊富
SDXL最新世代ではないが、アニメ・実写の派生モデルが充実
SD3.5新しい内部構造を採用したStable Diffusion系列
FLUX.1高品質な生成モデルとして定着
FLUX.2生成と画像編集を強化した後継系列
Qwen-Image文字描画や画像編集に強みを持つ独立系列

重要なのは、世代が新しいからといって、すべての用途で古いモデルより優れているわけではないことです。

たとえば、アニメイラストではSDXL系のIllustriousやWAIのような特化モデルが、汎用の新しいモデルより扱いやすい場合があります。一方、文字の描画や複数画像を使った編集では、新しい世代のモデルが有利になることがあります。

モデルを選ぶ際は、世代だけでなく、何に特化して学習されたモデルなのかを見ることが重要です。

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